【2018.8.19投稿】イラン ギャッベの旅 2日目④ 語らい

日も暮れ始め、女性たちが夕飯の仕度を始める。
座する私たちの目の前に、カリカリのパンが配られる。
その平たいパンに、ヨーグルト又は動物性の脂、お好みにより砂糖をまぶす。
出てきた夕食はこれだけだが、決して楽ではない遊牧生活をおくる彼ららしい簡単質素な食事だった。

夕食後、イランでは必ずと言ってよいほど、チャイ(紅茶)タイムを挟む。
遊牧民の生活でも例外なく、チャイが振る舞われた。
そして、皆で談笑する。
カシュガイ族の人達は、トルコ語を使用する為、会話の内容は全く理解できなかったが、親戚関係にあると見られる彼らが、楽しそうに会話するのを眺めているだけで心が和んだ。

悠々とウッカ(水タバコ)をふかす女性。
恐らくはこのキャンプ地で最も偉いと思われる。
わたしの祖母が住む長崎県の五島でも、正月やお盆に帰ると同じような光景が見られた。
祖父は既に他界していた為、祖母(来年100歳!)が中央に座し、父や伯父・叔母たちがテーブルを囲む。
近隣の”名前は分からないがよく見るおっちゃん達”が、とっかえひっかえやってきては酒を飲んで談笑する。
遊牧民の夜は、そんな懐かしい田舎の祖母の家のワンシーンを思い出させてくれた。
人間は内容の差はあれど、昔からこの寄り合いの様な形で集団の絆を強めていったのであろう。

この後、遊牧民の語り合いは夜遅くまで続いた。